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『フランドル』を鑑賞しました

GWは近所を徘徊するうちに終わってしまいました。皆さんは、きっと楽しい思い出を山ほど作ったことと思います。ちなみに、人に尋ねられて、去年や一昨年のGWに何をしたかを思い出そうとしましたが、まったく思い出せない。記憶力が悪化しているのかと思いきや、単に思い出になるようなことをしていないという事実に気付いてしまいました。……やばい、ちょっと寂しくなってきました。

とまぁ、そんな黄金週間でしたが、いくつか映画を観に行きました。ファミリー向けの大作を観たりもしましたが、基本、映画は一人で行くため、そういう劇場ではやっぱりちょっと浮きますね。それに引き換え、渋谷のミニシアターは、作品にもよりますが、大概、一人客の比率が高く、なんだか落ち着きます。なかでも好きな映画館の一つのユーロスペースで観たのが『フランドル』という作品。GWの浮かれ気分にはズシリと重たく響く映画でした。

事前にあらすじを読み、性と暴力というシリアスなテーマを扱っていることは分かっていましたが、実際に観てみると予想以上にヘビーな展開。映像に力があるといいますか、大げさな演出など何一つなく(音楽もほとんどありません)、とにかく淡々と事実を伝えるだけなのに、一つひとつのシーンにやけに重みを感じる映画でした。



主要人物は、フランスのフランドル地方に住む男女。二人は友人ですが、恋人のようにも見える微妙な関係。しかし、ちょっと陰のあるこの女性は、多くの男と簡単に性的関係を結んでしまい、やがてこの男性の友人の子どもを宿します。ほどなく、その男性は戦地へと駆り出され、中東らしき地域(映画の中では場所が特定されていません)の荒野を転戦しますが、そこでの描写は壮絶の一言。つい先ほどまでは牧歌的な農村で暮らしていた男たちのどこから、これほどの暴力的な本能が湧き出でてくるのか。残酷な映像の連続に衝撃を受けるばかりでした。

やがて小隊のうち、この男性だけが生き残ってフランドル地方に戻り、その女性と再会します。しかし、果たして、その罪は赦され得るものなのか──。などと、作品が投げかけるテーマについて、帰り道にもあれこれと考えさせられました。



明快な結末はありませんが、おそらく現実とはそういうものなのでしょう。非常に印象的な映画でありました。5月18日迄上映しているので是非!

(写真は映画『フランドル』より)

編集部・Nino

1975年川崎生まれ。音楽と映画とお酒とスイーツを愛するインドア派の男です。

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