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見てはいけない、姉川ワールド

“姉川たく”というアーティストを説明するとすれば、何と言えば良いのか?

私の中で彼は「ポンキッキーズ」、NHK子供番組に代表されるようにアニメーターであり、メディアクリエーターとしてのイメージが強い。ところがこうしたデジタル分野における活動が目立つ一方、数年前からシルクスクリーンやテキスタイル、刺繍など、ミクストメディアを用いた実験とも呼べる作品づくりにも意欲的に取り組んでいる。

現在、NANZUKA UNDERGROUNDで開催中の新作個展「秘密の寓話」(2008年4月12日〜5月11日)では、ドローイングと刺繍が変幻自在に交差し、絡み合い、紡ぎ出され、キモカワ?グロ?ブキ?で奇異な世界が作り上げている。描かれているのは人か、動物か、精霊か、幻獣か・・・。得体の知れない化け物が目からビームを放ち、ギターの弦が切れ、家が爆発し、耳から髄液が漏れ、鼻血が猛スピードで落下し、破裂した腸が垂れ、肺から青い静脈、赤い動脈が激しく飛び出し、体中の毛細血管や神経が散乱する、決して見てはいけないものを思わず見てしまったようなカオスでカルトなストーリー。
テレビの世界では、決して見ることのできない姉川ワールド。クライアントのいない中で、彼自身が本当に作りたいものを作っているのではないだろうか。正体の見えない彼の姿かたちがこうした作品を通して、なんとなく見え隠れするような気もする。
そもそも「寓話」とは人間を揶揄したり、風刺したりするため、擬人化した動物を主人公として教訓や処世訓を伝える物語をいう。有名なところでは、「うさぎとカメ」「アリとキリギリス」といったイソップ物語がそれにあたる。皆さんはこの個展を見て、どんな教訓を得るのだろうか。模索が続く自由な表現手法に触れ、様々な想いに耽ってみるのも面白い。

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

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