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画家の凄さを垣間見た「中西夏之新作展 」

本日から松濤美術館中西夏之新作展 絵画の鎖・光の森」の招待券を読者プレゼントしていますので、皆様ご応募ください。

さて読者プレゼントに先立ち、昨日、私は松濤美術館に行ってきました。平日にも関わらず、人の入りは上々の様子。松濤美術館で開催される企画展の多くがどちらかというターゲット層が高めなものが目立つ中で、今回の中西夏之さんの新作展は美大生らしき学生の姿もちらほら。

中西さんといえば、赤瀬川源平さん、高松次郎さんとともに60年代に結成した「ハイレッド・センター」を思い浮かべる人も多いのでは。日本版フルクサスともいうべき、ハプニングを得意とした前衛芸術運動グループで、「ドロッピング」や「首都圏清掃整理促進運動」「シェルタープラン」など世間をあっと驚かせる様々なアートイベントは、今なお伝説的に語り継がれている。リアルにはそのイベントを知らない70年代生まれの私も、赤瀬川源平さんの書籍などを通して彼らの活動を知り、羨ましさと憧れに近い感覚を覚える。

写真:中西夏之《背・白 edgeⅥ》2007年(部分)


で、今回の展示はどうだったかといえば、ひとことで言うなら、「画家という職業の偉大さ」を感じずにはいられないものだった。この2年間に描いた油彩、ドローイングが約50点。できれば私のオススメとしては、まず地下1階展示室に展示されている紫と白の点と線で構成された大きな油彩を見て欲しい。それから2階展示室に上がって、地下1階に展示されているものよりも、やや小ぶりの油彩を十分に鑑賞したのち、最後に特別陳列室のドローイングをご覧いただきたい。白と紫の点と線で描かれた油彩が単なるヒラメキではなく、いかに綿密な計算と、描画の繰り返しによって生まれているのかということに驚かされる。点は線となり、自由に分子運動のように動きながら円や曲線を描き、お互いに交わる。交差した点は高いエネルギーを持ち、励起状態となる。1つの作業から次の作業が生まれていく過程、連動、連結の動きを強く感じる。このドローイングの積み重ねが2階、地下1階の油彩へと繋がっていくわけだ。

もう一度、地下1階へ戻ってみる。分子の間を泳いでいるような錯覚を得る。絵が動いているのだ。2Dの絵画でありながら、アニメーションのような世界が広がる。

せひ、絵を勉強している学生たちに見てもらいたいと思った。何かヒントを得ることができるのではないか。

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

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