渋谷で味わう江戸の味
つい先日、取材が立て込み、朝から夕方近くまで、一口たりともご飯を食べられなかったということがありました。限界に達したあるスタッフが、突然、移動中の電車の中で「美味しいうなぎが食べたい!」と叫び出し、その一言が、その場にいた全員に伝染。誰もが頭の中が“うなぎ一色”に。取材をすべて終えるや否や、早速うなぎを食べに行こう!と思いきや…。「美味しいうなぎ屋さんって、渋谷界隈にあったっけ?」
ということで、全員で総力を挙げ、グルメ通な友人・知人にリサーチを開始。その結果、最有力候補として浮かび上がったのが、神泉駅のすぐそば、山手通りと旧山手通りの合流地点付近にある「いちのや」さん。
「いちのや」さんは、うなぎの名産地として有名な埼玉・川越で、天保3年(1832年)に創業した老舗中の老舗。ここは、その東京進出第一号店だそう。早速予約の電話をかけてみると、すべてオーダーを受けてからうなぎを調理するため、入店後も50分〜60分くらいは待たされるとのこと。限界に近づく空腹と闘いながら、取り急ぎ電話予約をして待つこと数十分。ついに耐え切れなくなり、タクシーで向かうことに。外観は、オシャレな和風ダイニングのような装いで、デートにもぴったりといったところ。この日は原稿が大量に残っていたので、泣く泣くテイクアウトにしましたが…。
そして、ついに出合ったうなぎの蒲焼は、ひとたび口の中に放り込むと、そのままとろけてしまうほどの柔らかさ。一日分の空腹を満たしてくれる、やさしい味わいです。この柔らかさの秘訣は、“蒸し”にあるといいます。一般的に、うなぎの蒲焼は、うなぎを白焼きにしてから蒸すところを「いちのや」さんでは、うなぎを割いたらそのまま生蒸しし、油を適度に落としてから白焼きするのだそう。
ちなみに、うなぎには、特に体内でビタミンAとして作用するレチノールが豊富。レチノールは、免疫力を高める他、美肌にも効果的だといわれています。皮膚や髪の潤いを保つ効果もあり、まさに女性に嬉しい食材。そのほかにも、ビタミンB群やカルシウム、鉄分なども豊富です。
渋谷で最新トレンドのグルメを味わうのもいいけど、たまには、江戸にタイムスリップして、昔ながらの日本の味を満喫するのもまた楽しいですよ。
「 いちのや」
渋谷区神泉町20-22
編集部・K
1980年東京生まれ。中央線文化育ちの、筋金入りの文化系。でも最近、女子力アップのためホットヨガを開始しました。