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渋谷サクラステージ「再開発の歩み展」開催中 構想から実現まで25年間を振り返る

11月30日に竣工した渋谷・桜丘町の新ランドマーク「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)の「再開発の歩み展」が現在、桜丘フロントビル1F「SACS」で開催されている。

「渋谷駅桜丘口地区」の再開発プロジェクトが、渋谷駅前周辺の他の再開発事業と大きく異なる点は、100人を超える地権者の多さである。渋谷ヒカリエや渋谷ストリーム、渋谷スクランブルスクエア東棟などは、旧東横線渋谷駅ホームや線路跡、商業施設の建て替えであった一方、桜丘口地区の場合は、住人や商業者、ビルオーナーなど、大変多くのステークホルダー(関係者)が関与している。各々の価値観や立場によって、考え方も様々であるため、同事業をまとめていくことは一筋縄でなかったはずだ。2008年の準備組合の設立から、11月30日の竣工までにかかった歳月は25年、構想から実現に至った月日の長さがそれを物語っている。

今回の展示企画では、開発前から現在まで渋谷サクラステージの再開発の歩みを模型や展示パネル、映像などで紹介している。

▲2008年から2023年までの経緯を時系列で紹介。また再開発工事の様子を定点・空撮撮影で連続的にパネル展示している。

2008年の準備組合設立から、東急不動産を中心に計640回にも及んだと言われる検討会の様子や都市計画の認可、解体工事、施工計画など、竣工に至るまでの28年間の全記録を写真などを交えながら時系列で紹介。さらに2020年着工から2023年竣工まで、何もなかった工事現場に渋谷サクラステージが徐々に建築されていく様子を、定点・航空撮影写真で連続的に紹介する大型パネルも掲出している。

▲中央に展示されている「渋谷サクラステージ」の模型

会場中央には、渋谷サクラステージの大型模型を展示。開発エリアは渋谷駅線路沿いに位置する「SHIBUYA(渋谷)サイド」(A街区)と、新たに整備された都市計画道路(補助線街路第18号線)を挟んだ反対側のヤマハビル跡地に位置する「SAKURA(桜)サイド」(B街区)の2エリアで構成。SHIBUYAサイドには、高さ約179m、地上39階建ての「SHIBUYAタワー」と。高さ約90mの「セントラルビル」。SAKURAサイドには、高さ約127m、地上30階建ての「SAKURAタワー」がそれぞれ竣工した。が、実際に新しく竣工した施設内を歩いていると、歩行者デッキや縦動線「アーバンコア」が巧みに接続しているため、自分が今どこのエリア、どこの階層を歩いているのかを意外に見失いやすい。
▲都市計画道路「補助線街路第18号線」の上にかかる歩行者デッキ。俯瞰してみると、自分がどう移動したかがよく分かる。

開発エリアの全体像を俯瞰して見られる模型を見ながら、どことどこが繋がっているのか、自分の歩いた動線を改めて復習してみることをおすすめする。

▲かつて坂道を上ると「ヤマハ」があった。今回の開発で新たに「音符坂」と新たにネーミングされた。

模型の中に「音符坂」という名称を発見した。もともとこの道はヤマハに向かう坂道で、以前は「へび坂」とも呼ばれていた。再開発に伴い、同跡地には「SAKURAタワー」が建ったが、かつてヤマハがあった名残からか、「音符坂」という新たな呼称が付けられたようだ。同地には今後、ヤマハの拠点が戻ってくるという。

▲かつて「崖の上のヤマハ」と呼ばれた「ヤマハエレクトーンシティ渋谷」(旧渋谷エピキュラス)撮影=2018年10月

【レポート】再開発で消えゆく渋谷・桜丘町でアートイベント(2018.11.20)
※「ヤマハエレクトーンシティ渋谷」閉鎖時に開催されたアートイベントの様子

▲「にぎわいSTAGE」のシンボル「しぶS」

興味深いのは、渋谷サクラステージ3Fの屋外広場「にぎわいSTAGE」に設置されたシンボル「しぶS」に関するデザインや設計、模型などの展示だ。
▲「しぶS」の施工検討用模型

「さくらの花びらが舞う」ようなイメージと、渋谷桜丘(Shibuya Sakuragaoka)のイニシャル「S」を重ねてデザインされた「しぶS」は、高さ9.5メートルの2階建て。階段を上下移動できる縦動線の機能性と、デザイン性を兼ね備えたに建築物である。

▲ステンレスの鏡面仕上げの部材

建物の内部はシームレスな曲面構造、かつ鮮やかなピンク色の鏡面仕上げ。階段移動の際に各々の姿が鏡面に映り込み、没入感のある映えスポットといえる。鏡面の素材はアルミではなく、堅い素材のステンレスをあえて使い、凹凸が少なく映り込みの美しさを優先。また、造船技術を使い短冊のステンレスを溶接によりつなぎ合わせ、隙間のないシームレスな形状を作り上げているという。

20枚のブロックをパズルように組み立てた「しぶS」の施工検討用模型や構造などを詳しく解説し展示する。渋谷サクラステージの新名所に込めた、関係者の思いが理解できる。

▲日没後、「にぎわいSTAGE」で毎日開催されているイルミネーション。

屋外広場「にぎわいSTAGE」と「しぶS」。12月1日から日没後、イルミネーション「光と音のハーモニー “さくらCHORUS“」が始まった。19時、21時には、照明や音楽、ミスとなどが連動する約2分間の特別プログラムが行われる。企画展示とともにイルネーションもぜひ見てほしい。

「再開発の歩み展」の会期は12月5日まで。

編輯部 - Fujiitakashi

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