文化村通りに新複合施設「道玄坂通」開業 インバウンド狙い「外資系ホテル」も
文化村通りに面した旧「ドン・キホーテ渋谷店」跡などで含む道玄坂2丁目エリアに大型複合施設「道玄坂通 dogenzaka-dori」が8月24日、新規オープンした。
高さ114.8メートル、地上28階・地下1階の同施設は、「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(目黒区)が手掛ける。
床面積約4万1877平方メートルの新施設の1,2階は「商業エリア」、2〜10階の中層部は「オフィス」、11〜28階の 上層階は、IHG ホテルズ&リゾーツが運営する「ホテルインディゴ東京渋谷」の3つ要素から構成される大型複合施設だ。
「道玄坂通」の場所はどこだろうか?
赤く囲ったエリアが今回の再開発エリアだ。文化村通りに面している部分はごく僅かであるが、敷地全体を俯瞰して見ると、その奥には敷地面積5,737平方メートルの広大な土地が広がっていることが分かる。
現在、文化村通りには「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」があるが、渋谷1号店は東急百貨店本店の向かい側、「旧ドン・キホーテ渋谷店」と青い丸印が記載されている場所にあった。1号店は小型店で手狭であったことから店舗拡大を目指し、周辺地域の用地確保を始めたのが、同プロジェクトのきっかけだったという。
「文化村通り」と、台湾料理店「麗郷」がある「道玄坂小路」などに接する立地から、同施設には計4カ所(文化村通り×2、道玄坂小路×2)のゲートが設けられ、複雑で入り組んだ道玄坂の裏路地から円山町・神泉町方面へのアクセスや回遊性を高める。建物自体を「道」と捉え「道玄坂に(新しい))道を拓く」という発想から、施設名を「道玄坂通」としている。
|渋谷初進出の外資系ホテルの誘致
具体的に施設の内容を見ていきたい。同施設の上層階(13‐23階)には「ホテルインディゴ東京渋谷」が、8月29日に開業する。
運営は18ホテルブランドを展開し、世界100ヶ国以上に約6,000ホテルを有する英・IHG ホテルズ&リゾーツ。中でも「ホテルインディゴ」は街の個性、歴史やカルチャーをホテルのデザインやアートなどに取り入れ、ホテル体験を通してその土地の魅力をゲストに届ける「ライフスタイル・ブティックホテル」として位置付ける。
同ブランドのホテルは箱根強羅、軽井沢、愛知・犬山に続き国内4番目、首都圏では初出店となる。客室は272室(13〜28階)、そののほか、12階にロビー、ジム、3階にネイバーフッドカフェ「Shibrewya」、11階にレストラン「Gallery 11」を併設する。
ちなみにコロナ禍が落ち着き、7月だけで訪日外国人観光客数は約230万人に上り急増している。それに合わせて、今年度に国内で開業する「外資系ホテル」は次の通りだ。
<2023年度開業の外資系ホテル >
★マリオット系=ブルガリ(4月開業)、シェラトン鹿児島(5月開業)、ザ・リッツ・カールトン福岡(6月開業)、TIAD(7月開業)、紫翠(8月開業)、エディション銀座(10月開業)、フェアフィールド・バイ・マリオット津山(4月開業)/鹿児島たるみず(4月開業)/淡路島東浦(6月開業)/福岡うきは(8月開業)/佐賀嬉野温泉(7月開業)/熊本阿蘇(今秋)
★IHC系=VOCO大阪セントラル(5月開業)、インディゴ東京渋谷(8月開業)
★アコー系=メルキュール東京日比谷(12月開業)/羽田エアポート(11月開業)
★ヒルトン系=ヒルトン沖縄宮古島リゾート(6月開業)/ダブルツリーbyヒルトン京都東山(8月開業)/ヒルトン横浜(9月開業)
★ハイアット系=ホテル虎ノ門ヒルズ(10月開業)/ハイアットハウス渋谷(24年2月開業)
ざっと調べただけで、約21の外資系ホテルが新たに誕生する。外資系ホテルの進出の勢いが止まらないが、今後、中国からの団体旅行も加わり、インバウンド消費がより加速していくことを考えると、これでも足りないくらいなのかもしれない。
また「ホテルインディゴ東京渋谷」の向かい側、渋谷・東急本店跡地では2027年度竣工を目指し「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」の開発が進む。
同プロジェクトでは商業施設のほか、香港・中国・米国で高級ホテルを展開する「Swire Hotels(スワイヤー・ホテルズ)」が手がけるコンテンポラリーラグジュアリーブランド「The House Collective(ザ・ハウス・コレクティブ)」の開業も予定する。現在、渋谷のMEGAドンキは外国人観光客のお土産の聖地と化しているが、将来的には同エリアに2つの外資系ホテルが向かい合わせで誕生し、文化村通りは「国際色豊かな観光ストリート」としての色合いを一層強めていきそうだ。
|商業エリアには、日本初上陸を含めて12店舗オープン
次に1〜2階の商業エリアを見てみよう。様々なジャンルのショップが路面のようにつながり、まるで小さな商店街のような雰囲気を形成する。新規12店舗の中から、いくつかピックアップして紹介したい。
シアトル発、日本初上陸のハンバーガー「Lil Woody's」
アメリカ・シアトル発祥の「Lil Woody's(リル ウッディーズ)」は、シアトル・マリナーズの本拠地T-Mobile Parkをはじめ、アメリカで4店舗を展開するバーガーショップ。クラシックなチーズバーガーから、地元シアトルの特産品を取り入れたバーガーまで幅広いメニューを提供し、地元で高い支持を集める。日本1号店となる同店では、アメリカから輸入した食材をたっぷり使った、肉厚でボリューミーなハンバーガーをそろえる。
「ローマの休日」でおなじみの老舗ジェラート店「Giolitti」
ローマ発ジェラート専門店「Giolitti(ジョリッティ)」。1900年創業の老舗で、不朽の名作「ローマの休日」で、オードリー・ヘップバーンが演じる「アン王女」が劇中で食べたジェラートとして知られる。現在国内で食べられるのは有楽町と渋谷のみ。ヘップバーン気分でジェラート片手に文化村通りを闊歩してみてはいかがだろうか。
恵比寿発の「猿田彦珈琲」
スペシャルティコーヒー専門店「猿田彦珈琲」は、2011年6月に恵比寿で開業。その後、店舗を広げ、現在では全国に約20店舗を構える。渋谷駅周辺には2017年に渋谷モディ店閉店以降は店舗がなかったが、今回6年ぶりに渋谷に店舗が復活する。コーヒー原料である生豆の直接取引からロースト、ドリップまで猿田彦珈琲で全てを行うこだわりの一杯を提供する。
ヘルシーと満足度を両立するブリトー専門店「フリホーレス」
肉・野菜・豆をたっぷり使ったブリトー専門店。好みや気分、体調に合わせて具材を自由自在に組み合わせでき、1つ1つオーダーメイドで提供する。フリホーレスの料理には、インゲン豆、ヒヨコ豆、11種類の新鮮な野菜、肉、米が含まれ、バランスよく栄養を補給することができるのに加え、天然由来の調味料で味を調え、塩分も控えめ。ヘルシーとボリューミーな満足度を両立するメニューとして、女性にも人気。店舗は麻布十番、代官山、六本木、大手町、八重洲に続き、渋谷で都内6店舗目となる。
ドンキのオリジナル商品を集めた新業態「ドミセ」
数々のオリジナル商品を提供してきたドン・キホーテの「情熱価格」。その中でも、選りすかなラインナップするほか、ナッツやドライフルーツ、珈琲の量り売り、焼き芋マイスターが選ぶ日本全国のさつま芋が7〜8種類そろう「焼き芋コーナー」など、ここでしか味わいない商品がそろう。文化村通りを挟んだ向かい側には「MEGAドンキ」もあり、新店舗も外国人観光客らの人気を集めそうだ。
そのほか、THE CITY BAKERYやゴンチャ、サラダ専門店、いなり寿司とおにぎりの専門店、洋風惣菜店など普段使いしやすいカジュアルなお店がそろう。
さて、新しく開業したばかりの道玄坂通を見てきましたきたが、同施設の一番の特徴はやはり、ユニークな立地といえるだろう。「文化村通り」を基点とし、高級住宅街のある「松濤」、クラブやライブハウス、ラブホテルなどが集積する「円山町」、さらに渋谷一の歓楽街「渋谷センター街」のちょうど中間点に位置する。同じ渋谷ながら各エリアでカラーやイメージ、それぞれに生息する人びとの属性さえも全く異なるが、同所を結節点とし国籍やカルチャーの異なる多様な人びとが混ざり合うユニークな場になっていくことが期待される。いわゆる大手ディベロッパーが作る商業施設とは一線を画する、ドンキらしい施設として今後、存在感を見せてほしい。
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