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宇川直宏展とモディリアーニ展!!!!!!!!!!!!!!

先週の金曜日に、NANZUKA UNDERGROUNDで行われている、自称「メディアレイピスト」宇川直宏さんの個展「UKAWA NAOHIRO - A Series of Interpreted Catharsis episode2 - earthquake」のオープニングレセプションに行ってきました。この『スターウォーズ』シリーズのようなタイトル(エピソード2から先に始まるところとか)と、お馴染みの本人による異常に長い解説文が壮絶で期待が膨らみます。「自然災害シリーズの第二弾」として、会場には『地震』をテーマにした写真とビデオ作品などが展示されており、宇川さんご本人が作品を解説中でした。



写真作品を見ただけではわかりませんが、サンフランシスコと阪神淡路で起こった地震を表現するために、筑波の地震研究所で震度や継続時間などを完璧に再現して発生させ、自然災害が発生する瞬間の記録として展示しています。モデルのファッションや部屋のインテリアなども当時のトレンドを忠実に反映させ、ビデオ作品の映像は、自動車の安全性をテストする際に使われる特殊なカメラで撮影されたそうです。さらに自身も京都大学防災研究所が運営する「日本自然災害学会」の会員にまでなり、近々論文を発表する予定だとか。まさに「細部に神が宿る」かのごとく、徹底してディテールにこだわる姿勢からは、宇川さんの底知れない好奇心と偏執狂的な職人魂を感じます。この宇川さんの解説とセットになることで、一見何気なく飾られた展示作品は一気に時空を超えて「マスターピース」と化し、鑑賞者に目眩のような感覚を与えていくような気がします。とっくの昔からあちこちで言われているので今更口に出すのも気が引けますが、ほんとにヤバイです、この人。


宇川さんと言えば、同じくNANZUKA UNDERGROUNDで行われた『篠原有司男・暴走集会2006!!!!!!!! / 泥濘の鬼退治バイカーズ展!!!!!!!!』では、かつて実在した暴走族のバイクの録音テープを会場のBGMとして流し、『電気用品安全法によって消え逝く危険性があるもの展』a.k.a『電気用品安全法によって消え逝く危険性があったもの展』では、各界に多大な混乱を招いた法案に対して、パフォーマンス的要素を伴った展示を急遽開催することでいち早く社会にその杜撰さを訴え、『FINAL HOME SURVIVAL ─ ADDICT EXHIBITION』では、本物のアスベストをジャケットに縫い付けて展示し、『フィッシュマンズ展〜THE LONG SEASON REWIND〜』では、フィッシュマンズ随一の大作「ロングシーズン」の世界観を「石膏粘土に鉛筆」という奇抜な素材で限りなくシンクロさせるように表現するなど、作家としてもキュレーターとしても、その溢れ出す異常なアイデアと唯一無二の作家性を思う存分発揮してきました。(現代の「アート」という言葉が扱う領域の幅広さをそのまま表すような希有なアーティストであり、個人的にはダリとかデュシャンに匹敵するようなインパクトと存在感のある人だと思っています。)



会場に行った際には、運良く宇川さんから直接解説が聞ければそれに越したことはないのですが、スタッフの人にでもコンセプトや制作秘話など、いろいろ突っ込んで聞いてみると、より宇川さんの頭の中を深く共有できるかもしれません。今年10月に六本木の森美術館にて開催予定の展示で、宇川さんは「自然災害シリーズの第一弾」として「台風」をモティーフに「森美術館の中に台風を生け捕りにする」とのことで、どんな展示になるのか、今から期待が膨らみます。


ちなみにこの日は、Bunkamura ザ・ミュージアムにて、『モディリアーニと妻ジャンヌの物語展』のオープニングレセプションも開催されていました。こちらは年配の方が多く、どことなくモディリアーニが過ごしたモンパルナスの「古き良き時代の芸術サロン」といった雰囲気。宇川さんの個展もモディリアーニ展も、どちらも同じ「アート」というジャンルでくくれてしまうことがおもしろいですね。この日の渋谷は芸術の今と昔に思いを馳せるような刺激的な一日でした。

編集部・M

1977年東京の下町生まれ。現代アートとフィッシュマンズと松本人志と綱島温泉に目がないです。

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