飲む本? 読むコーヒー? コーヒーショップ「珈琲文庫」 神南で限定オープン
新しいコーヒー体験を提案するコーヒーショップ「珈琲文庫」が現在、神南のコワーキングスペース「the Hive JINNAN(ザ ハイブ神南)」店頭に期間限定でオープンしている。
企画・運営はクリエイティブ会社「越境」(渋谷区神南)。大手広告代理店の出身者を中心に2020年に設立された同社は「幸福な分人を生み出す企画づくり」をミッションに掲げ、手法にこだわらず、様々な広告プロモーションやブランディングなどを手掛けている。通常は広告主ありきで企画を立てている同社であるが、今回は「自社プロダクト」としてユニークなコーヒーショップを立ち上げたという。
このコーヒーショップの一番の特徴は、店頭に設置されたコーヒーカップが並ぶ本棚だ。
文庫本の表紙を思わせるデザインを施した各コーヒーカップには、「人には言えない悦を見つけた」「警察に補導された」「1日も休まず、私は実行した」「無機物として生きていくのも悪くない」など、本の帯のようにキャッチーなコピーが印刷されたスリーブが巻かれている。
実はスリーブの裏面には、コーヒータイムに軽く読める短い小説が書かれている。書き手は、クリエイティブディレクターやコピーライター、フォトグラファーなど、広告業界などで活躍する計36人のクリエイターたち。「忘れられない一言」「密かな夢」「2026年 その日の旅」など計6種のテーマの中から各クリエイターがそれぞれ書き下ろし、原稿用紙1枚程度の計36作の私小説が完成。1杯のコーヒーに1つの作品が付くという趣向だ。
まず、同店を訪れたら、店頭の本棚に並ぶコーヒーカップに記載されたコピーから、お気に入りの一つ選ぶ。刺激的なコピーや、思わずクスっと笑ってしまうものも多く、「一体どんな味わいのコーヒーなんだろう?」「どんな小説なんだろう?」と想像力を働かせながら、コーヒーを選ぶのも同店ならではの魅力。次にコーヒーカップを1つ選ぶと、バリスタがそのテーマに合わせて焙煎したコーヒーを淹れてくれる。コーヒーを受け取った利用客は、飲む際にカップに付いたスリーブを外し、その裏に書かれた私小説を読みながら、コーヒーを味わうことができる。選ぶ楽しさ、飲みながら読む楽しさが加わり、仕事と仕事の合間に飲む1杯のコーヒーをより充実したものに変えてくれそうだ。
デジタルデバイスが普及する現代は、ひと息つく時にもスマートフォンが手放せない人が多いが、同企画担当者は「スマホを閉じて、コーヒータイムをのんびり過ごしてほしい」という。
コーヒー代はホット・コールド共に450円、テイクアウト販売のみ。平日11時〜16時、土曜13時〜16時(日曜日は休み)。営業は7月9日(金)まで。
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編集部・フジイタカシ
渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。