「世界報道写真展2021」開催 大賞は「コロナ感染者との抱擁」を捉えた1枚
ドキュメンタリー、報道写真の展覧会「世界報道写真展2021」が2021年6月12日(土)より、東京都写真美術館で始まった。
同展は、1955年にオランダのアムステルダムで設立された「世界報道写真財団」の主催のもと、毎年開催されている世界最大規模の「世界報道写真コンテスト」の入選作品が一堂に介する。世界中の約120会場で展示され、年間を通じて約400万人が訪れる人気の写真展として知られる。
64回目となる今年は、130の国と地域のフォログラファー4,315人から計74,470点の応募作が寄せられた。「現代社会の問題」「一般ニュース」「環境」「自然」「長期取材」「スポーツ」「スポットニュース」「ポートレート」の8つの部門で、28カ国45人が受賞。各部門は「単写真(1枚)」と「組写真(複数の写真構成)」に分かれ、入賞者は部門毎に各1位から3位に選出され、その中から最も優れた写真に「世界報道写真大賞」「世界報道写真ストーリー大賞」が贈られる。
今年の「世界報道写真大賞2021」は、「一般ニュースの部」単体写真1位のマッズ・ニッセン氏(デンマーク 、ポリティケン/パノス・ピクチャーズ)の作品「初めての抱擁」。2020年8月5日、ブラジル・サンパウロにある介護施設で、新型コロナウイルス感染防止のカーテン越しに、看護師に抱きしめられる85歳の女性を撮影し、大賞に輝いた。
そのほか、「自然の部」単写真1位は、アミ・ヴィターレ氏の写真「浸水した島からキリンを救出」。2020年12月3日 、ケニア西部バリンゴ湖で洪水に見舞われたロンギチャロ島から、安全な場所に輸送されるロスチャイルドキリンの様子を捉えた1枚。「自然の部」組写真3位はルイス・タト氏の写真「バッタ来襲と闘う東アフリカ」。2020年4月24日、牧草地を破壊するバッタの大群を懸命に追い払おうとする集落の長の勇敢な姿を捉えた1枚がそれぞれ入賞している。
さらに「現代社会の問題部」単写真2位は、ジェレミー・レンピン氏の写真「ドクター・ペヨとミスター・アセン」。2020年11月30日、フランスにあるカレー病院センターの緩和ケア病棟で息子を抱きしめる転移がん患者と、それを優しく見守る動物介在療法用の馬・ぺヨを撮影した写真など、圧倒的な力量のプロフェッショナル達の受賞作品が一堂に介する。
今、世界で起こっている現実を記録として捉えると共に、「アート性」や「心に迫る緊張感」など、1枚の写真から様々な感情がきっとあふれ出すはず。昨今では動画ニュースが主流になっているが、改めて写真報道が持つ魅力に触れてみてはいかがだろうか。
世界報道写真展2021
○会期:2021年6月12日(土)〜8月9日(月・休)
※休館は毎週月曜日(但し休日の場合は開館し翌日休館)
○開館:10:00 〜18:00(入館は閉館30 分前まで)
○会場 東京都写真美術館 地下1階展示室
○公式:https://www.asahi.com/event/wpph/
○料金:一般1,000 円/大学・専門学校生800 円/中高生・65 歳以上600 円
○主催 世界報道写真財団 、朝日新聞社