アートを施した「点字ブロック」敷設 渋谷スクランブルスクエア館外通路で
渋谷スクランブルスクエア2Fの館外通路で現在、アートの力で視覚障がい者の新しい道を作るプロジェクト「STREET ART LINE PROJECT」が実施されている。
渋谷の街は再開発が進むと同時に、エスカレーター、エレベーターの新設による縦移動、建物と建物をつなぐ歩道橋新設による横移動など、歩行者の縦横移動をスムーズにするネットワークがだいぶ整備されつつある。街はどんどんアップデートされ便利になるが、一方で視覚障がい者の道となる「点字ブロック」に目を向けてみると、ブロックが剥がれていたり、途中でブロックが分断されているなど、視覚障がい者たちが立ち往生してしまう部分がかなりあることに気が付く。たとえば、渋谷区観光協会が紹介する観光名所のうち、93カ所は点字ブロックが連続して繋がっていない現状があるそうだ。
健常者が意識しづらい、気が付かない課題を解決するため、博報堂DYグループの新事業「HYTEK」を中心に視覚障がい者、アーティストらで構成される実行員会を組織し、「STREET ART LINE PROJECT」が立ち上がった。同プロジェクトでは、アートの力を取り入れた点字ブロック「STREET ART LINE」の開発とともに、健常者への啓蒙、視覚障がい者が街を楽しむための道づくりをミッションに掲げて、活動をスタートさせている。
プロジェクト第一弾となる今回は4月28日(水)〜5月9日(日)まで、渋谷スクランブルスクエア2F館外通路で佐川友星さん、HOLHYさんのアーティスト2名が参加し、健常者に意識されづらかった点字ブロックを啓発するという視点から、「アートを施した点字ブロック」を敷設。作品テーマは「太陽と八咫烏(ヤタガラス)」。日本神話に登場するヤタガラスは導きの神として知られるが、普段は見えない存在をあえてアートとして表現することで、健常者がより意識しやすい点字ブロックを目指したという。また、今回アート作品を印刷するシートは、点字ブロックを足で踏んだ際の防滑度(滑りにくさ)を重視した素材を選定、さらにアートで使用する色彩の輝度比なども検証し、アート性と機能性の両方を兼ね備えたものを選んで利用しているそうだ。
今回の敷設はごく僅かなスペースで、実施期間も非常に短いが、これを第一歩として、今後少しずつでも視覚がい害が独りで街歩きを楽しめる道が増え、さらに健常者にも課題が共有されていくことを期待したい。
STREET ART LINE PROJECT実施概要
〇期間:2021年4月28日(水)〜5月9日(日)
〇場所:渋谷スクランブルスクエア2F館外通路
〇主催:STREET ART LINE PROJECT実行委員会
〇運営:HYTEK (AD plus VENTURE株式会社)
〇特別協賛・協力:一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント
〇場所提供:渋谷スクランブルスクエア株式会社
〇公式:https://streetartline.jp/
編集部・フジイタカシ
渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。