自宅に居ながら、渋谷で開催休止中のア―トや映画を楽しむ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、臨時休館・休業が続く美術館や映画館などのカルチャー施設。本来、春からGW は新しい企画展や新作がスタートするタイミングであるが、残念ながらアートや映画を施設で鑑賞することは難しい。そこで自宅に居ながら、渋谷で開催休止・延期となった展覧会や映画が楽しめる動画コンテンツやウェブサイトをいくつか紹介する。
|担当学芸員による分かりやすい解説動画をチェック!
東京都写真美術館では、開催休止になった「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」展(当初の開催予定:2020.3.3〜5.24)を、担当学芸員による展示解説付きのYouTube動画で配信している。
幕末明治期における関東地方の写真文化を紐解く同展は、3章で構成。1章は欧州で発祥した写真が日本で普及するまでの歴史と写真技術、2章は関東地方を訪れた写真家や写真技術者の活躍などを紹介。最終章はペリー来航時に同行した写真家エリファレット・ブラウン・ジュニアが日本で撮影した写真など、日本の初期写真史を俯瞰する内容となっている。 YouTube動画では、001〜007までの7本の動画コンテンツで章ごとに丁寧な展示解説が聞ける。
●日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3453.html
●解説動画002 https://youtu.be/vW3sOYIdFtI
●解説動画003 https://youtu.be/lDaSp69To-o
●解説動画004 https://youtu.be/BhNga7AI3XU
●解説動画005 https://youtu.be/iTMHkdVqNGw
●解説動画006 https://youtu.be/YegyCuFyew0
●解説動画007 https://youtu.be/oCm4mM-Ral8
|美術館専門サイトで取材動画をチェック!
丹青社が運営するミュージアム・博物館・美術館の情報サイト「インターネットミュージアム」(https://www.museum.or.jp/)も動画が多く収録されていて、おすすめ。渋谷で開催休止・延期となった松濤美術館の「いっぴん、ベッピン、絶品! 〜歌麿、北斎、浮世絵師たちの絵画」や、太田記念美術館の「月岡芳年 血と妖艶」も取材レポート&動画で見ることができる。
特に渋谷・松濤美術館の展示は、浮世絵の中でも版画ではなく、浮世絵師たちが一点一点筆で手掛けた「肉筆浮世絵」に焦点をあてたもの。歌麿や北斎などの新発見・再発見作品のほか、重要文化財・重要美術品を含む約80件を紹介する貴重な企画となっている。
●松濤美術館「いっぴん、ベッピン、絶品! 〜歌麿、北斎、浮世絵師たちの絵画」取材レポート
https://www.museum.or.jp/modules/topics/index.php?action=view&id=1297
●太田記念美術館の「月岡芳年 血と妖艶」取材レポート
https://www.museum.or.jp/modules/topics/index.php?action=view&id=1296
|ミニシアターの映画も家から鑑賞!
休館中の渋谷のミニシアター「アップリンク」では、外出を控えられる映画ファンに向け、オンライン映画館「UPLINK Cloud(https://www.uplink.co.jp/cloud/)」で映画作品を配信。過去に配給した60本の映画作品が見放題というキャンペーンを実施している。地球環境や原子力、芸術関連など、他では見られない上質なドキュメンタリー作品が数多くそろうため、自宅でじっくりと社会派作品に浸ってみるのも悪くない。料金は3カ月間で2,980円。
●60本見放題キャンペーン 配信作品リスト
https://note.com/uplink_jp/n/n26233be24e4b
同サイトでは過去作品のみならず、新型コロナの影響で公開延期となったアレハンドロ・ホドロフスキー監督の集大成となる『ホドロフスキーのサイコマジック』(4/24〜5/25)や、人種差別に対する10万人のデモ行進と音楽フェス「ロック・アゲインスト・レイシズム」を追った音楽ドキュメンタリー『白い暴動』(4/17〜5/15)もオンライン上映する。
特に『ホドロフスキーのサイコマジック』では「寄付」付きの有料オンライン配信を実施し、上映予定の全国の映画館に売上を均等分配するという試みも行う。料金は『ホドロフスキーのサイコマジック』の通常プラン=1900円、寄付付きプラン=2500円、『白い暴動』=1100円。いずれもストリーム時間は72時間まで。
●映画「白い暴動」
http://whiteriot-movie.com/
●映画「ホドロフスキーのサイコマジック」
https://www.uplink.co.jp/psychomagic/
さらに渋谷シアター・イメージフォーラムで上映予定だった想田和弘監督の最新作品「精神0 ZERO」も、5月2日より“仮設の映画館”としてオンラインでの上映が決まっている。想田監督といえば、川崎市議会の補欠選挙に出馬する同級生の姿を追ったドキュメンタリー映画『選挙』や、外来の精神科診療所「こらーる岡山」に集う様々な患者をじっと見つめる『精神』など、ナレーション、BGM等を一切排除した観察映画を得意とする監督。新作「精神0」では、ベルリン国際映画祭などで絶賛された「精神」(2008年)の主人公の一人である、精神科医・山本昌知さんの「引退」がテーマ。患者から絶大な信頼を得ている山本医師が82歳で引退するが、長年にわたり彼を慕い、生きてきた患者さんたちは戸惑う。引退後、山本医師に待っていたものとは何か……。オンライン配信料金は1800円。ストリーミング時間は24時間以内。
●仮設の映画館
http://www.temporary-cinema.jp/seishin0/
●映画「精神0」
http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/3362/
外出自粛で時間を持て余している人も多いはず。アートや映画鑑賞、読書など、良質なカルチャーに触れて、知識や見識、思考力、人格、人生を深める時間として有意義に使ってみてはいかがだろうか。