【Shibuya Travelers Guide】渋谷区のど真ん中で味わう「銭湯」という日本カルチャー/渋谷・改良湯
渋谷から恵比寿をつなぐ明治通りの真ん中あたりに銭湯があるのをご存じだろうか? 創業は1916年(大正5年)という歴史ある「改良湯」を現在の店主である4代目ご主人の大和伸晃氏・慶子さんご夫妻が、2018年にリニューアル。さまざまな世代や人、文化が交差する「渋谷CROSSING」をコンセプトにしたモダンな雰囲気の銭湯へと生まれ変わった。
銭湯が自宅のお風呂代わりだった時代を経て、昨今はスーパー銭湯ブーム、またサウナブームでもあり銭湯の魅力が見直され始めている。大和慶子さんのお話によると 「数年前からサウナを利用される方が増えてきていたので、配管など部分的に改修をしていたのですが、これから先のことを考えたら全面的に改装した方がいいのではないかと思い、2018年にリニューアルしました」
黒の漆喰が塗られた壁をつたい入口に来ると素敵なロゴがデザインされた白いのれんがかかっている。ここが銭湯だと知らなければ、割烹と勘違いしてしまう人もいるのではないだろうか。
のれんをくぐると落ち着いた色合いの靴入れ。券売機でチケットを購入し、ドアを開け受付へ。こちらもシックなデザイン。
待合室も木と光をうまく組み合わせていて、とてもモダンな印象だ。
男湯と女湯の入口はのれんで仕切られているのだが、こちらもグレーとラベンダーという上品な色合いが印象的である。
「せっかく渋谷という場所にあるので、ご近所の方だけでなく(国内外から)いろんな方がいらっしゃってくれると思ったんですね。単に『銭湯=お風呂』に入りにくる場所ではなく、リラックスする場所、行きたくなる場所など、『銭湯=コミュニケーションの場』というふうに考え方を変えました。いわゆる銭湯らしい和の雰囲気であること、赤と青というクラシックな男女の色分けなどをやめることで、銭湯の可能性を広げられるのではないか」と。
女湯の脱衣所は、白をメインに黒ワイヤーのアイテムが多数設置。銭湯でこんなモダンなアイテムが置いてあるところは少ないだろう。足に触れる木のぬくもりと同時にこういったモダンな雰囲気が、上質な時間と気分を提供してくれる。
そして、改良湯の一番の魅力は、浴室が美しいことだ。壁絵はアートユニット・Gravityfree(グラビティフリー)によるもの。真ん中に渋谷川が流れ、かつて渋谷にいくつもあったという水車小屋が描かれているなど、渋谷の歴史も感じ取ることができる。
「銭湯では日常を忘れてほしいという思いがあったので、あえて照明を暗くしてほしいとオーダー。リニューアルの際に以前より湯船を広くし、光や湯気が美しく見えるように計算されています。初日は、やはり常連の方々に照明が暗いと言われたりもしました(笑)。でも、何回か通っていただくうちに“落ち着く”と言っていただけるようになりましたね」
手前が中温風呂(42度)、奥が高濃度炭酸泉(38度)。どちらも10人ほど入れる広さがある。炭酸泉は38度という少しぬるめの温度に加え、お湯がキラキラしているのを見ているとものすごく癒されて、いつまでも浸かっていられる気がした。
また、人気のサウナは入浴料にプラス350円(税込)で利用できる。4〜6人が座れる広さで、2段タイプ。男湯が100度、女湯が90度前後の設定になっている。こちらも室内は少し暗めで、ジャズが流れている。サウナーにとって大事な水風呂の水温は14〜16度と季節によって変化している。
「以前はご年配の方が多かったですが、リニューアルしてからは男女共に若い方も多く、渋谷・恵比寿という土地柄やはり外国人旅行者の方も来てくださいます。私たちが望んだように、どこかへ出かける前にひと風呂浴びたり、仕事の合間のリフレッシュに使っていただけているのが嬉しいです」
そんな人たちのためにロッカーも2種類を用意。正方形と縦長のサイズのものがある。あまり大きい荷物は入らないので気をつけよう。
訪日旅行客に向け、全国浴場組合が作った入浴マナーに関する英語版ポスターが貼ってある。もし、入り方がわからない外国人がいても、これがあれば安心だ。改良湯の券売機にも、英語表記がある。
入浴料は、大人=470円、中学生=300円、子ども=180円ほか。貸しバスタオルは、今治タオルの中でも特に高品質の「IKEUCHI ORGANIC」を使用。グッズコーナーで5000円にて販売されているものが、150円でレンタルできる。シャンプーやリンスなどの販売もあるので、手ぶらで利用できるのも魅力。
また、ここでしか手に入れることができない改良湯オリジナルグッズも販売しているので、記念にロゴ入り(これがまた可愛い!)タオル(250円)や手ぬぐい(1200円)を購入するのもいいだろう。
「改良湯」(かいりょうゆ)
〇住所:東京都渋谷区東2-19-9
〇電話:03-3400-5782
〇営業:
月曜日〜金曜日15:00〜24:30
日曜日・祝日 13:00〜23:00
〇定休:土曜日
※最終入場は閉店の30分前まで
〇公式:https://kairyou-yu.com/
オオバリエ
楽しく美味しく食べることが好きで、魅力的なお店の情報を聞きつければ都内を中心に車を飛ばして行きまくり。憧れは海外旅行に行って美味しいものを食べまくることです。