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20世紀を代表する美術家ヨーゼフ・ボイスの人生を追ったドキュメンタリー

現代美術家ヨーゼス・ボイスの人生を追ったドキュメンタリー「ヨーゼス・ボイスは挑発する」が2019年3月2日より、渋谷アップリックで上映が始まる。

ヨーゼフ・ボイス(1921年5月12日−1986年1月23日)は、戦後ドイツを代表する現代美術家の一人。パフォーマンスアートや彫刻、インスタレーション、ドローイングなどのアート作品のほか、教育者・社会活動家としての一面も持ち、彫刻概念を拡張し「社会を彫刻する」ことを掲げ、レクチャーや対話を通じた社会改革にも積極的に取り組む。

代表的な作品には、フェスト素材を使用した背広をハンガーで吊るした『フェルト・スーツ』(1970年)や、熱で溶け冷えると固まる脂肪(蜜蝋)を使った『脂肪の椅子』(1963)などがある。従来の彫刻は「石」「金属」など無機質な素材を使用するが、ボイスは「フェルト」や「脂肪」「蜜蝋」など、ユニークな独自素材を使って立体作品づくりを行う。さらに『コヨーテ −私はアメリカが好き、アメリカも私が好き』(1974年)と題したパフォーマンスアートでは、米・ニューヨークでの1週間の滞在期間中、アメリカ人との一切の接触を避け、ギャラリー内に籠もってアメリカ先住民の聖なる動物「コヨーテ」と一緒に暮らす。アメリカ文化に同化しない先住民を排除し、今日の発展を遂げたアメリカ社会に対する強い批判が込めたものだ。

その実験的かつセンセーショナルなパフォーマンスや挑発的なメッセージから、異端のアーティストとして批判に晒されることも多かったが、バンクシーらをはじめ、現在のアーティストにも強い影響を与えている。本作は膨大な数の資料映像と、新たに撮影された関係者たちのインタビュー映像で構成され、ボイスの芸術と知られざる戦争の傷などに迫るドキュメンタリー作品となっている。

ボイスに強い影響を受けたアーティストの一人である坂本龍一さんは、次のようにコメントを寄せている。

「今まで知らなかった、ボイスの繊細さ、傷つきやすさと真剣さ、夢想家と理想の人という両面を知ることができた。そして『傷』というのがボイスの芸術を解く鍵ではないかということも。資本主義が終焉を迎えている今、その先を見据えた経済・芸術を唱えたボイスの思考を知る、格好のドキュメンタリーだと思う」。

20世紀を代表する美術家が残した作品から、今の私たちは何を感じ何を考えるのだろうか。

映画『ヨーゼフ・ボイスは挑発する』
2017年/ドイツ/107分/ドイツ語、英語/DCP/16:9/5.1ch/原題:Beuys
〇上映:2019年3月2日(土)より
〇劇場:アップリンク渋谷ほか全国順次公開
〇監督・脚本:アンドレス・ファイエル
〇出演:ヨーゼフ・ボイス、キャロライン・ティズダル、レア・トンゲス・ストリンガリス、フランツ・ヨーゼフ・ヴァン・デル・グリンテン、ヨハネス・シュトゥットゲン、クラウス・シュテーク
〇配給・宣伝:アップリンク
〇公式:http://www.uplink.co.jp/beuys/

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