「こども食堂」の実情をリアル描く映画、渋谷アップリンクで延長上映中
「こども食堂」を舞台に様々な事情を抱える子どもたちを描いた映画「こども食堂にて」が現在、渋谷・アップリンクで上映している。
2016(平成28)年度の調査によれば、全国210カ所の児童相談所が対応した児童虐待の件数は122,578件を数え、1990年度から連続で増加し続けているという。子どもが取り巻く環境が年々悪化する一方、当事者である子ども達、それを支援する施設スタッフ、さらには社会的な養護に頼らざるを得ない親たちの声は、なかなか第三者には届かない。
佐野翔音監督は「児童養護施設」「子どものシェルター」など、「社会的養護」の背景と現状を描いた前作「わたし、生きてていいのかな」続き、今作では「こども食堂」に焦点を当てる。貧困や孤食のこどもたちに食事の提供をするだけに留まらず。「こども食堂」は様々な事情を抱える大人やお年寄りが訪れ、地域、社会を結び付ける交流の場としての役割も担う。佐野監督は「こども食堂」に来る何らかの事情を抱える子どもたちを取り上げ、そのエピソードを通じ「現代の子どもたちを取り巻く問題と、子どもを救い守ろうとする大人たちの活動を伝えたい」という。
主人公は20歳の滝本 千晶さん。かつて彼女は親から虐待を受けていたが、「子どもシェルター」「自立援助ホーム」など、多くの人に支えられ立ち直った過去を持つ。今は「こども食堂」でボランティアスタッフとして働きながら、社会福祉士を目指し夜間の大学で学ぶ。千晶の目には夕食を食べに来る多くの問題を抱えた子どもたちの姿が映る。腕に痣がある小学生。児童養護施設に入っていたことを笑顔で話す中学生、子育てに苦悩するシングルマザーなど……。ある日、千晶は里親のもとで暮らす一人の少年の悩みを聞く。「生みの母親が見つかったため、会いたい」というが、少年はどう行動するのか。また千晶自身も、縁を切った父親が行方不明という連絡が入り、心が揺れる……。
出演は千晶役の本下はのさんのほか、川上麻衣子さん(特別出演)、柴田理恵さん(特別出演)、五大路子さん(友情出演)らも名を連ねる。
映画を通じて、現在の子どもたちが抱える問題の一端に触れてみてはいかがだろうか。
上映期間は11月16日まで。
「こども食堂にて」 2018年/日本/カラー/16:9/115分
〇監督・脚本:佐野翔音
〇出演:
本下はの、北原佐和子、平田友子、高橋万里子
大地伸永、川上麻衣子(特別出演)
柴田理恵(特別出演)、五大路子(友情出演)
〇公式:https://kodomosyokudo-nite.jimdo.com/
〇劇場:渋谷アップリンク(渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1-2F)
〇上映:11月16日まで(上映時間は渋谷アップリンクHPで要確認)
〇料金:
一般1,800円/ 学生1,500円(平日学割1,100円)
高校生以下800円/ シニア1,100円
〇時間:115分