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渋谷川沿いに生まれた「新しい遊歩道」名称を募集中! 代官山方面への「歩行者動線」と人々が憩う「広場」を兼ねる

大規模複合施設「渋谷ストリーム」が9月13日に開業し、同時に渋谷川沿いの旧東横線の跡地に「新しい遊歩道」が誕生。今後、住民や来街者に長く愛される「水辺の憩い空間(遊歩道)」を目指し、現在、「ストリート名称」の一般公募が行われている。

2013年3月、東横線と副都心線の相互直通運転に伴い、東横線渋谷駅と代官山駅間の線路は地下化。渋谷駅南街区土地区画整理事業の一環として、旧東横線渋谷駅ホームと線路跡地を再編、「渋谷ストリーム」の建設工事と都市基盤・街区の開発が同時に進み、官民連携による「新しい遊歩道」が渋谷川沿いに整備された。

▲JR渋谷駅隣接の稲荷橋から八幡橋付近までの遊歩道のイメージ図(画像提供=渋谷ストリーム)

▲遊歩道のイメージ図。八幡橋から徒歩橋、並木橋へと代官山・恵比寿方面まで約600メートルにわたり遊歩道が続く(画像提供=渋谷ストリーム)

遊歩道の範囲はJR渋谷駅にほど近い「稲荷橋」から「並木橋」、さらに道路を超えた先の渋谷区清掃工場が隣接する新商業施設「渋谷ブリッジ」までの約600メートル。もともと旧東横線の線路跡地であることから、遊歩道上には鉄道の記憶を残す遺構やモニュメントなど、遊び心に富んだ数々の仕掛けが点在している。

さて「新しい遊歩道」の名称を考えるにあたり、この遊歩道がどんな目的や特徴を持っているのか、詳しく紹介していきたいと思う。

▲渋谷ストリームの大階段を下がると稲荷橋広場が広がる

まず、遊歩道のスタート地点は、渋谷ストリームの大階段を下った先にある稲荷橋広場。その先には渋谷川が流れている。今まで水量がなく、どぶ川のイメージの強かった渋谷川であるが、下水処理を行って再生水を利用し水流が復活した。

▲稲荷橋広場から渋谷川を眺めた水景。川の両護岸から「壁泉」が流れている

さらに渋谷ストリームに面した川の護岸には、「壁泉」と呼ばれる人工の滝を流し、来街者の目を楽しませるオシャレな水景を演出している。

▲左)洋風酒場カフェ「ビストロ るうぱん SAKABA&CAFE」 右)レモネード専門店「LEMONADE by Lemonica」

壁泉沿いには「レモネード専門店」や「洋風酒場カフェ」など、賑やかな飲食店ゾーンが並ぶ。
渋谷ストリームの商業施設は「金王橋」で終了し、道路を隔ててその先も遊歩道が続く。歩きながら足元を見てみてほしい。コンクリートには「本物のレール」が埋め込まれていることに気が付くだろう。▲左)遊歩道にレールを埋め込む工事風景(撮影:2018年6月20日) 右)遊歩道にはレールが長く続き、線路跡地の記憶を残す

まるで映画「スタンドバイミー」の少年たちのように、線路の上を歩いて冒険の旅をしている気分が味わえそうだ。

▲金王橋付近に設置された高架橋の一部を残して作られたパーゴラ

金王橋や並木橋付近には、高架橋の柱を一部解体せずに残したパーゴラが設置。上部には鉄鋼やレールが組み合わせ、線路跡地にふさわしいパブリックアートとして存在感を示す。また、パーゴラや遊歩道上、ベンチなどには、それぞれ異なる番号がふられている。
実はこの番号は、「かまぼこ屋根」が復活した旧東横線ホーム(現在、国道246号線をまたぐデッキ)から数えられた高架橋の柱の順番を表しているという。ちなみに金王橋付近のパーゴラには32番の数字が記されている。

▲オープンイノベーション施設「100BANCH」。1Fはカフェカンパニー運営のカフェ、2Fはラボ、3Fはイベントスペース。

JR渋谷駅新南口近くの「八幡橋」には、2017年7月にオープンしたパナソニックが運営するオープンイノベーション施設「100BANCH」がある。「100年先の未来をつくるために100人のプロジェクトを支援する」を目的とした施設の2Fには、常識にとらわれない価値観を持つ若者たちが多様なプロジェクトや研究を行っている。見学は自由にできるため、遊歩道の散策の途中でラボに立ち寄り、ユニークな研究の一端に触れてみるのも楽しい。

現在、100BANCHの向かいの遊歩道には、マスキングテープ仕様のミニクーパーが期間限定で展示され、日本とは思えぬ雰囲気を漂わせている。

▲「旧並木橋駅」の記憶を残すプラットホーム

並木橋付近には、戦前まで渋谷と代官山間に存在した「並木橋駅」の記録を残すべく、1段高いプラットホームのようなスペースが設置。特に表記などはないが、知る人が知る東横線の歴史を物語る心憎い演出といえるだろう。

▲並木橋から渋谷ブリッジを眺めた風景

▲「渋谷ブリッジ」内まで遊歩道が続く

並木橋の道路を挟んだ先には、渋谷ストリームと共に開業した新商業施設「渋谷ブリッジ」まで遊歩道が続いている。

▲渋谷ブリッジの外観。「ローマのコロッセオ」のようにカーブした建物が特徴

ホテルやカフェ、保育園、オフィスなどが複合する同建物の一番の特徴は、「R」カーブを描く独特なフォルムだ。旧東横線が並木橋手前で「キーキー…」とブレーキをかけていたのを覚えている人もきっと多いと思うが、R160(半径160メートル)と言われる大きなカーブの名残。

▲遊歩道から続く「渋谷ブリッジ」内側の通路。かつて旧東横線が走り抜けていた高架橋のカーブや幅(約10メートル)を歩きながら実感できる。天井からぶら下がる時計も駅の雰囲気を醸し出す。

幅10メートルの狭小な奥行きも、かつての高架橋の幅をそのまま利用して作られていることがうかがえる。

▲祭事やイベント等での利用が計画されている「金王橋広場」

さらに渋谷川、遊歩道の整備と共に「稲荷橋」と「金王橋」にはそれぞれ人が溜まれる広場も設けられ、今後、同広場や遊歩道上では様々な催事やイベント、野外マーケット等が行われるという。長い間、高架橋下の渋谷川沿いは薄暗いイメージが強かったが、今回の官民連携による整備により、渋谷駅から代官山・恵比寿方面に抜ける「新しい歩行者動線」としての役割に加え、地元や来街者が憩い楽しめる「新たなパブリックスペース」としての活用も期待されていることがうかがえる。

▲川沿いにランタンを灯す「ツナガリアカリ」の様子

ちなみに現在、遊歩道では「Shibuya River Fes〜あたらしい景色をソウゾウしよう〜」(9/13〜31)と題し、夕方以降にランタンを灯す「ツナグアカリ」(13〜31日、稲荷橋・金王橋広場、遊歩道)や、畑作りイベント「Urban Farmers Club in 渋谷川キックオフ企画」(23日、遊歩道)など、まちびらきを記念した様々な企画が展開されている。

ここまで「新しい遊歩道」の特徴を見てきたが、今回の「ストリート名称」の募集企画では、「稲荷橋」から「渋谷ブリッジ」内の通路まで約600メートルの区間全体を包括する一つの名称を募集している。応募要件として名称には必ず「渋谷(しぶや、シブヤ、SHIBUYAも可)」または「渋谷川」の文字を含めることが条件。特に応募資格はなく、渋谷が好きな人なら誰でも可、応募方法は郵送、FAX、Eメールのほか、渋谷ストリーム内に設置するポストからも投函できる。応募締め切りは10月14日(日)まで。

「新しい遊歩道」に皆さんが考えた名称が刻まれるかもしれません。今回記事内で紹介した特徴などをヒントにしながら、アイデアを出してみてはいかがだろうか。

<「新しい遊歩道」名称 公募概要>
〇応募方法:郵送、FAX、Eメール、渋谷ストリーム内のポスト投函
〇必須事項・応募要件:
1. 氏名(法人・団体名)、住所、電話番号、名称とその理由や意味をご記入ください。
2. 新名称には必ず「渋谷」または「渋谷川」の文字を使用してください。
 ※しぶや、シブヤ、SHIBUYAでも可
〇応募先:
・郵便:〒150-0043 東京渋谷区道玄坂1-3-8 丸井ビル4F
 渋谷川広場運営連絡会事務局 一般社団法人駅前エリアマネジメント宛
・FAX/電子メール:03-3461-3821 info@shibuyaplusfun.com
〇応募期間:
 2018年9月13日(木)〜10月14日(日)まで
 ※郵便の場合10/14の消印有効
〇その他:
・応募の名称案の中から渋谷川広場運営連絡会で協議の上で決定
・採用された新名称は著作権他一切の権利は渋谷川広場運営連絡会に帰属
〇お問い合わせ:
 渋谷川広場運営連絡会事務局 渋谷区都市整備部渋谷駅周辺整備課
 電話:03-3463-2649

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

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