B3階
日本初の地下鉄、東京メトロ銀座線は東急東横店3階部分に突き刺さるように見える格好でホームを形成しています。そもそも、なぜ地下鉄なのに地上3階にホームを設ける必要があったのでしょうか?その答えは「渋谷」という地名の通り、渋谷駅がスリバチ地形の「谷底」であることが要因です。銀座線のように古い地下鉄ではトンネルが浅いため、「丘」地形にある表参道や青山では地下であっても、その先の渋谷では地上に出てしまうわけです。銀座線の場合は、東急東横店の3階にあるホームを中継点として、さらにその先の道玄坂にある車庫まで渋谷の谷を横断しています。同じく「谷」がつく「丸ノ内線四谷駅」が地上駅なのも同じ理由です。ちなみに東急東横店3階部にあるホームは、昭和12年に玉電ビル(現、西館)を竣工する際に、東館との間に新たに事務館を増築し造られました。地下鉄でありながら、山手線、東横線よりも高い地上12Mを走る「銀座線」は、渋谷のスリバチ地形がもたらした不思議な光景の一つと言えます。
写真=昭和30年頃、渋谷駅東口