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KEY PERSON キーパーソンが語る渋谷の未来

渋谷を中心に活躍する【キーパーソン】のロングインタビュー。彼らの言葉を通じて「渋谷の魅力」を発信します。

プロフィール

1969年、熊本県生まれ、愛知県名古屋育ち。京都の大学を卒業後オーストラリアに渡り、現地の観光客向けの店舗や旅行代理店などで就業。帰国後、輸入商社を経て、株式会社アイ・エヌ・ジー名古屋支社に入社、東京本社に赴任後、2005年に代表取締役に就任。


大手企業にとってもマーケティングが難しいとされるティーンを対象に、センター街などでリサーチや口コミ・プロモーションを仕掛けるのがアイ・エヌ・ジー。「プリクラ」新機種開発などで、センター街に漂う空気感をデータ等に置き換え提案を行う。同社・竹永社長にティーンの実態を聞いた。

ティーンの根底は何年経っても変わらない

--最初に渋谷の街と出会ったのは?

当社は、もともと原宿にありましたが2000年ぐらいに渋谷に移転しました。今のティーンのマーケティングを始めたのは13〜14年前です。私自身は大学を卒業して、就職もせずにオーストラリアに行って30歳手前まで一人暮らしをしていました。たまたま、この会社には弟がいた関係で入社しました。渋谷に行き来するようになったのは7年前ぐらいからです。最初は、「違う国に来た」という感じがありましたね(笑)。

--街としてはやはり渋谷は好きですか?

もともとわたしは名古屋で育っているもので、この会社に入って数カ月たって東京に来たとき、街の規模は(名古屋の)2、3倍ぐらいだろうと想像してきたのですが、それどころではなく、10倍20倍の感覚でした。それぐらいの違和感が、街並みというか人というか…名古屋の繁華街と渋谷では圧倒的大差を感じました。最初1、2カ月、慣れるまでは嫌だったのですが、半年から1年ぐらいで、逆に営業や出張に行って地方から戻ってきてハチ公口を出た時にホッとする瞬間があった。これが、「なじんだ」ということなんだなと、自分で感じた瞬間でもありましたね。

--宇田川町にいる若い子たちは、どのように変わりましたか?

以前は、読者モデルはもっとカリスマ性があって、ちょっと距離感があって…というものだったのですが、雑誌が増えたことで、そのカリスマ性が薄くなった。当時は、本当にかわいい子が雑誌に出ていて、雑誌に出るというステイタスがすごく高かったものが、今は誰でも出られるみたいな空気が…。センター街を歩いていても日常的にフリーペーパーに撮られる、雑誌に撮られるみたいな状況があったりして…そういうものが当たり前になってきましたね。ただ、こういう仕事をしていて常に思っていることですが、基本的な部分は変わらないと思っています。意外にも、根底はあまり変わらない。ただ若い人たちは新しいものに対応する適応能力が高いので、ちょっと遠目で見るとものすごく変わっているように見えるけれど、本質的には変わっていない。ただ目の前にあるものを使いこなしているという風に僕らは思っています。

あれだけ遊んでいた子が、3年生の夏休みにパタッと来なくなる

--それは、彼女たちを長く見ているから、そういう風にとらえられるのですよね?

そうかもしれません。弊社では、登録している女子高生が毎年毎年卒業していって、また新しい子が入ってくる―の繰り返しです。それでも雑誌の流行りが違ったりなど状況の変化はあるにせよ、根本的には変わらない。一方、彼女たちはより現実的になっている気がしますね。結局、手に職を付けるような、例えば看護師などが人気の職業だったりとか、そういう学校は定員オーバーだったりとかという現象と全く同じだと思います。日ごろ話していても、結局ただ大学に行く子というのは、ものすごく少ない気がします。それこそ僕らの時を考えると、恐らく「何となく大学進学」という考え方の人が8割〜9割いたと思うんですけれど、そういう考えが少ないんじゃないですかね。冷静に、親が許してくれないから一応大学に行くけど、自分は「そこに目標はない」というのを明確に知っているような子や、あるいは最初から意味が無いから違う進路を自分で考えている子だったりとか…。大学でもこういうことを将来やりたいからこういう学科に行きたいとか。それぞれに非常に現実的だと思いますね。より現実的すぎて、そんなに頑張っても大して変わらないみたいな…だから今は自由にしようという考え方がありそうです。

--今が一番面白い時だということを客観的に把握しているのでしょうか?

それはものすごく把握していると思いますね。センター街にたまっている女の子たちなんかは特にそうじゃないですかね。あれだけ遊んでいた子が、3年生の夏休みにパタッと来なくなる。それまでは本当にどうしようもないんです。家には帰らない、オールばかりやっている、そんなむちゃくちゃな子がパタッと来なくなるんですよ。あれは逆に感心します。そこまで切り替えられるんだって…。中には20歳過ぎてもそういう感じの人ってたまにいます。もっとそういう人が増えてもおかしくないのにと思ったりするのですが、意外にそこはプツッと卒業していく…多分、すごく現実的なんだろうなと思いますね。この世代は、男の子より女の子の方が現実的というか、大人ですね。

--過去、渋谷でどのような口コミを仕掛けましたか?

ルーズソックスが流行っていた頃に、あるプロモーションをやってくれないかという話を頂きました。弊社は口コミ・プロモーションをやっているので、噂を流すというか、アンケート形式で「ルーズは流行ってるけど、このハイソックス知ってますか?」みたいなアンケートを行いました。そこには「実はルーズソックスって男の子からすれば、あまりいいイメージじゃなくて、紺のハイソックスの方が清楚(せいそ)でいいイメージが持たれているよ」といった情報を添えて。また、アンケートを行う一方、現実的な裏付けを見せるため、当時センター街で人気のあった女子校の生徒たちに実際の商品を配って履いて歩いてもらい、「流行り始めてるんだ」という現象を起こして、当時かなり多くの媒体がこれを取り上げました。もちろん大ヒットにもなりました。1997年のことですね。

渋谷の街頭で女子高生の嗜好性を探る


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