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KEY PERSON キーパーソンが語る渋谷の未来

渋谷を中心に活躍する【キーパーソン】のロングインタビュー。彼らの言葉を通じて「渋谷の魅力」を発信します。

プロフィール

うるまでるびさん(左:うるまさん、右:でるびさん) 夫婦で活動を続ける2人組コンテンツクリエイター。桑沢デザイン研究所を卒業後、1993年にフジテレビ系列の番組「ウゴウゴルーガ」に参加、「しかと」などの人気コンテンツを生み出して注目を浴びる。その後はアニメーションやキャラクター、ソフトウェア、エッセイなど、ジャンルに捉われずに活動。2007年、作詞・作曲・アニメーションを手がけた『おしりかじり虫』が「NHKみんなのうた」で放送されて大ブレイク。そのほかの代表作に「カプセル侍」(アニメーション/えいごリアン3)、「おれボテ志」(イラストエッセイ/ほぼ日刊イトイ新聞)、「びっくりマウス」(ソフトウェア/Playstation2)などがある。


「NHKみんなのうた」で放映された『おしりかじり虫』の大ブレイクで、一躍、その名を知られるようになった2人組コンテンツクリエイターのうるまでるびさん。うるまさん、でるびさんのお二人は渋谷にある桑沢デザイン研究所の出身で、卒業後も渋谷を拠点にして、アニメーションやキャラクター、ソフトウェアなど、多彩な作品を発表してきました。そのユニークなアイデアの数々は、渋谷の地で、どのように生み出されているのでしょうか。

渋谷の街は、意外と「子育て」に向いていることが分かった

--お二人の渋谷との出会いは?

(うるま)僕は笹塚の生まれで、渋谷に関する最初の記憶は、幼稚園か小学校に通っていた頃、東急文化会館のプラネタリウムに行ったこと。20年近く前、桑沢デザイン研究所に通い始めてからは、とくに深い付き合いになりますね。
(でるび)私は小学生の頃、渋谷パルコができた時に母親に連れられて来たり、NHKの建物を見学したりしたのが渋谷に関する最も古い記憶。学生時代には友人と新宿で遊ぶことも多かったのですが、渋谷で過ごす時とは感覚が違った。渋谷は最先端で特別な街だと感じていたんですね。
(うるま)桑沢デザイン研究所に通っていた頃から、今ほどではありませんが、センター街は若者で賑わっていました。あの頃は渋谷パルコが全盛で、文化を引っ張っていましたね。「日本グラフィック展」とか「パロディ展」がとても盛り上がっていて、クリエイターになりたがっている若者が押し寄せて来ていました。
(でるび)そんななか、絵の具だらけの汚い格好をして、公園通りを上り下りしていたのが私たちです(笑)。
(うるま)仕事を始めてから仕事場は、ずっと渋谷区内です。最初の事務所は幡ヶ谷で、次は笹塚、神宮前、東急ハンズの目の前、そして2年前に現在の代々木公園の近くに移ってきました。だから現在、僕らにとっての渋谷は特別に何かをするというよりは、日常を過ごす街という感覚ですね。

--かなり頻繁に移転されていますね。

(うるま)更新をするなら引っ越してしまえと思うんですよ。でも東急ハンズの目の前の事務所はとても便利で、初めて更新をしました。東急ハンズが事務所の倉庫みたいになっていましたからね(笑)。東急ハンズに行くと、不要なモノまで買ってしまうことが多いのですが、目の前にあると「もう一度、来ればいいか」と無駄遣いをすることがないのがメリット。4階事務所にあった事務所から渡り廊下でつないで欲しいと、何度、思ったことか(笑)。
(でるび)当時は子どもが小さくて、東急ハンズの近くに保育園もあったのも良かったですね。
(うるま)渋谷は意外と子育に向いている街だと分かりました。渋谷で生まれ育った人って、みんな気さくで子どもに声をかけてくれるんですよ。保育園のつながりだけでなく、通りを歩いているだけで、沢山の知り合いができました。外からは見えづらいのですが、渋谷には住人同士のネットワークがあるんですね。それがすごくオープンで、よそ者も快く受け入れてくれる。あと、働きながら子育てをすると、どうしても子どもが夜に出歩く機会がありますが、地域の目があるし、通りは明るいし、意外と安全なことも実感しました。
(でるび)渋谷にいると、外部から来た人も含め、誰もが気さくで開放的になれるのかもしれません。事務所の下の階に中国人が経営する足ツボマッサージの店があって、その方も子どもを見るたびにお菓子や人形をくれたりして、とても仲良くなりました。ただし、渋谷は子ども用品を売る店が少ないという点だけは苦労しましたね。

空港に次いで、変わった人に出会えるのが渋谷(笑)

--渋谷で頻繁に訪れる場所はどこでしょうか。

(うるま)東急ハンズの近くに学生時代から通っている喫茶店があって、昼間はそこでアイデア出しをすることが多いですね。いわゆる昔ながらの純喫茶で、すごく良い雰囲気なんですよ。「おしりかじり虫」をはじめ、うるまでるびの作品の多くがこの店で生まれました。
(うるま)あとは、東急ハンズはもちろん、青山ブックセンター本店などもよく行きますね。外食も渋谷周辺が多いのですが、最近、夜遊びはしていませんね。
(でるび)私も何をするにしても渋谷で済ませることが多い。最近は、誰かに会うといった機会がなければ、他の街には行かないですね。

--渋谷と他の街との違いは何でしょうか。

(でるび)方向感覚がなくなりやすい街かもしれませんね。通行人から「駅はどっちですか?」と、尋ねられたことが何度もあります。あと、渋谷は変わっている人が多いから、人間観察をするのも楽しい。東急ハンズの目の前の事務所にいた時は、東急ハンズに入っていく人たちをよく眺めていましたが、とくに定休日は面白かった。店が閉まっているのを見て「はぁー」と大きくため息をついて、次に必ずケータイを出すというリアクションが、みんな同じなんです。
(うるま)急いで何かを買いに来た人が途方に暮れつつ、上司などに連絡しているのでしょう。その後、多分、新宿店などに走るのだと思います(笑)。空港にいると、「一体、この人はどこから来たんだ?」と思ってしまう変わった人が多いですよね。私にとっては空港に次いで、変わり者に会える場所が渋谷ですね(笑)。
(うるま)ケとハレという言葉がありますが、渋谷にはハレを求めて訪れる人が多いのでしょう。もちろん、新宿や池袋も同じでしょうが、渋谷は特別にハジけられる街という感覚がありそう。

©NHK/うるまでるび
NHKみんなのうた「おしりかじり虫」より
作詞・作曲・アニメーション:うるまでるび
  うた:おしりかじり虫 編曲:松前公高

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