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Tokyo Metropolitan Museum of Photographyは、2月20日(金)から3月1日(日)までの10日間、同館全フロアを使って、映像メディアの複合企画「恵比寿映像祭」を開催する。会場では、期間中、同時多発的にアーティストに発表の場を提供。1Fホールでの上映に加え、3F、2F、地下1Fの展示室では平面、立体・インスタレーションなどスクリーンに収まらない映像表現を展示する。また、2Fカフェを使ったアーティスト・トークや、昨年今回の映像祭のプレ・イベントとして開催された「映像をめぐる7夜」で好評だったライヴが今回も地下1Fで催されるなど、映像メディアの多様性を既存の「映像祭」の枠にとらわれずに追求するイベントとなっている。また本映像祭は、会場(リアルサイト)で実施する10日間だけに留まらず、次回開催までの355日の間も、公式ウェブサイト上で継続。映像をめぐる国内外大小の活動を、相互にリンクする映像メディアのターミナルとして機能していく予定だ。
第1回となる2009年恵比寿映像祭の総合テーマは「オルタナティヴ・ヴィジョンズ」。テレビに象徴されるマス・メディアが大量消費を促してきた時代を経て、ネットワーク型のメディアが生活に入りこんでいる現代を見据えながら、個々人が映像に更なる価値を発見するきっかけ作りを与えている。

アンディ・ウォーホル 《スクリーン・テスト:岸田今日子》 1964年 16mmフィルム、モノクローム、サイレント/4分 ©2009 The Andy Warhol Museum, Pittsburgh, PA, a museum of Carnegie Institute. All rights reserved.

今回は、この恵比寿映像祭を、上映、展示、アーティスト・トークやライブという媒体に着目しながら、映像メディアの最前線をご紹介したい。
3F、2F、地下1Fの展示室では、14組のアーティストの作品展示が予定されている。その中の1つが、ポップ・アートを代表するアーティスト、アンディ・ウォーホル(1928-87)によるもの。ウォーホルは、商業広告のイラストレーターとして人気を博したのち、フォト・シルクスクリーン技法による絵画作品を発表、この技法は生涯を通じて彼の主要な制作技法の一つとなった。1963年にスタジオ「ファクトリー」に移ったウォーホールは映画制作に取り組み始める。1964年からは「ファクトリー」を訪れる様々な人々を被写体とした「スクリーン・テスト」シリーズの撮影を開始。幅広い形式の作品を制作したウォーホルだが、「僕の望みはアート・ビジネスマンとかビジネス・アーティストであることだった」という言葉の通り、彼のテーマは一貫してマス・メディアと消費社会にあったと言える。
『アンディ・ウォーホル』
展示場所 3F展示室
展示期間 2月20日(金) − 3月1日(日)

ブルース・ビクフォード「プロメテウスの庭」
1988年/カラー、ヴィデオ、サウンド/28分/アメリカ

また、1Fホールでは、恵比寿映像祭でディレクターを務める岡村恵子さん、東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員の岡田秀則さん、山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局ディレクターの藤岡朝子さん、オーストラリア在住のキュレーターのジョエル・スターンさんなど、合計9名の専門家が考案した合計20の上映プログラムを、順次上映して行く。 映像作家の太田曜さんプログラムによる上映『日仏の最新手作り映画傑作選』では、「“時代遅れ”」の「フィルム」に着目し、手作業でフィルムにダイレクトにプリント、編集された作品群から傑作選を選び抜いた。また、藤岡朝子さんが選んだのは、日本占領中に設立され、後に人口の多い工業地域に変貌していった中国東北部瀋陽にある鉄西区が、廃虚となっていく様子を長期に渡って記録したドキュメンタリー『鉄西区』。合計9時間(545分)におよぶこの超長編ドキュメンタリーは、『中国社会の現実を見据えて ドキュメンタリー《鉄西区》』と題され、「工場」「街」「鉄路」という三部に分かれて上映される。

『日仏の最新手作り映画傑作選』
上映場所:1Fホール
上映日時:2009年02月22日(日) 11:00〜

『中国社会の現実を見据えて ドキュメンタリー《鉄西区》』
上映場所:1Fホール
上映日時:
第一部/工場 02月26日(木) 11:00〜
第ニ部/街  02月27日(金) 11:00〜
第三部/鉄路 02月28日(木) 11:00〜 ※各回とも、途中休憩あり

ジェネラル・アイディア 「テスト・チューブ」1979年/カラー、サウンド、モニター/28分15秒
プロデューサー:デ・アペル、コンサルタント:ジョー・オデュフレ、撮影:フリッツ・ オ ストフォーゲル、ヴィデオ:ジャック・フリーバーグ/ハリー・ファン・デア・マート

Naohiro Ukawa
《DAYLY PSYCHIC TV/ EMPEROR’S DEAD》 2003年[参考図版]

また、地下1Fの展示室では、松本俊夫と宇川直宏の対論や、ハードコアユニットOPTRUMと暴力温泉芸者の中原昌也さん、サウンド・アーティスト梅田哲也さんによる「楽器」をテーマにしたコラボレーションライブなどが開催予定。新世代の「ディジタル&人力オーディオ=ヴィジュアル・トリオ」(佐々木敦)d.v.d.によるライヴは、オープニングとして2Fでの演奏が予定されており、計5ステージのライブイベントが順次楽しめる。
その他、東京都写真美術館の会場の外でも、渋谷駅周辺の6つの大型ビジョンでは、期間中の連日2分間、韓国出身のチャン・ヨンヘ重工業が渋谷を舞台に制作した新作を世界に先駆けて上映する。チャン・ヨンヘ重工業は、テート美術館(ロンドン)とポンピドゥ美術館(パリ)にてコミッション・ワークを制作/発表。2008年12月にはアテネ国立現代美術館で個展を開催している、世界中の先鋭的なアート・ファンから熱い注目を集めるアートユニットである。

全館フロアを使っての今回の祭典は、国内唯一の写真と映像の専門美術館ならでのもの。一部定員制のものを除き、3階、2階、地下1階での展示への入場は無料とのことなので、この機会に、多様化する映像メディアの最先端を肌で感じてほしい。

『映像対論・松本俊夫×宇川直宏:創造と共有の新しい形を探って』
開催場所:B1F展示室
開催日時:2月22日(日) 14:00-15:30
『オープニング・ライブ:d,v,d,』
開催場所:2Fエントランスホール
開催日時:2月20日(金) 19:00-20:00
『instrumentalize extra09 (インストゥルメンタライズ エクストラ09):視覚/音/映像 (ライヴ・パフォーマンス)』
開催場所:B1F展示室
開催日時:2月27日(金) 19:30-21:00

古郷卓司 《18:49》 2008年
デジタル・プロジェクション 1024x768 ピクセル http://artonline.jp/2008/

ブルース・コナー
《TVの深夜映画:1978年7月10日午前1:20から1:27:スターンズ・モーテル、カリフ ォルニア州ヴェニス》 1978年撮影、1986年プリント 白黒写真の連作(エディション 1/3) 27.9 x 35.5 cm
協力:マイケル・コーン・ギャラリー、ミヤケ・ファイン・アート

title:
Ebisu picture festival
Screening Location:
Tokyo Metropolitan Museum of Photography
Screening period:
2009年2月20日〜2009年3月1日
※開催時間の詳細はオフィシャルページをご確認下さい。期間中無休。
Writer:
アンディ・ウォーホル、宇川直宏、岡田憲一、クリス・バーデン、古郷卓司、木村太陽、ジェネラル・アイディア、ショーン・スナイダー、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー、ジェス・マクニール、ダン・グレアム &ダラ・バーンバウム、チャン・ヨンヘ重工業、ブルース・コナー、ヨハンナ・ビリング

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