東横線旧渋谷駅の「かまぼこ屋根」が復活!
前回の記事で、渋谷川沿いの東横線線路跡地の再開発プロジェクト「渋谷駅南街区(名称:渋谷ストリーム)」の名称および計画詳細が決まった、というニュースをお知らせしました。
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もう一つ、「渋谷駅南街区」関連でとっておきの情報であるので、追加でお伝えしたいと思う。「かまぼこ屋根」で親しまれた東急東横線・旧渋谷駅ホームは「4面4線の頭端式ホーム」。ホーム下には「国道246号線」、頭上には「首都高速3号渋谷線」が走り抜けるという極めて特殊な高架橋ホームでしたが、駅構内は天井が高く開放感に満ち、歩いていても大変気持ちの良いものでした。ヘッダー写真を見て、懐かしさがこみ上げてきた人もきっと多いのではないでしょうか。
<参考記事>4面4線の頭端式ホームとは?
既に旧渋谷駅ホームやかまぼこ屋根は取り壊されたが、唯一残っているのが国道246号の上に架かる3本の太い鉄筋だ。東横線のホームと線路跡で、渋谷川沿いの高架橋へと繋がっていたことを物語る。再開発に伴い、この高架橋の痕跡が一体どうなるのか、気になっている人も少なくはないはず。今回発表された「渋谷ストリーム」の計画詳細によれば、「3本の太い鉄筋(高架橋)」がどう活用されるのかも明らかとなったので、この場でご紹介したいと思う。
結論からいえば、3本の鉄筋はJR渋谷駅方面と渋谷ストリームをつなぐ、「国道246号横断デッキ」として生まれ変わる。かつてホームや線路を支えた鉄筋を、そのまま活用するのは鉄道ファンならずとも、とてもうれしいニュースだ。新しい施設に旧渋谷駅の遺伝子が継承されるような、そんな感動を覚える。強いて欲をいえば、ニューヨークのハイラインと同じく、線路そのものを一線でもそのままデッキに残してくれれば申し分なかったが、おそらくは工事を進める上で、それは出来なかったのだろう。
同デッキは渋谷ストリームの2階に直結。さらに施設を抜けるとそのまま並木橋の先まで、渋谷川沿いに整備される「水と緑の遊歩道」が約600メートル続くという計画だ。国道246号と首都高による街と街の分断を解消し、渋谷駅から代官山方面に向かって、新しい人の流れを形成する「歩行者ネットワーク」としても重要な役割を担うことになる。
東横線旧渋谷駅の駅舎(撮影:2012年4月)
さらにもう一つ朗報なのが、「国道246号横断デッキ」頭上に旧駅舎のアイコン「かまぼこ屋根」が再現されるという点だ。線路の枕木方向に「R」がかかった半円が反復して並ぶ屋根は、その形から「かまぼこ」と言われて駅利用者に長く愛されてきた。
今回の開発では「かまぼこ屋根」に加えて、屋根側面のメガネ型(クラム型)の壁などの意匠も再現される予定だという。
左)渋谷ストリーム内のサイクルカフェ 右)オフィスロビー 画像提供:東急電鉄(株)
また「国道246号横断デッキ」のほか、渋谷ストリームの施設内にも4階のサイクルカフェ、5階のオフィスロビーに「かまぼこ屋根」をイメージしたアーチ型のルーフが取り入れられるなど、「旧駅舎の記憶」を刻むという心憎い演出が施されている点も見逃せない。2018年秋の完成が待ち遠しい。
編集部・フジイタカシ
渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。