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ハチ公像は渋谷だけ? ハチ公像の実態に迫る

「ハチ公前で待ち合わせね」。こう言えば、たいていの人は渋谷駅のアノ場所に集合するはず。ところが、ハチ公像はこの1体だけに留まりません。実は全国各地にあるのです。そんな各地に散らばるハチ公像を調べてみました。

まずは1番新しいハチ公像から。それは東大農学部キャンパスの正門近くにあります。2015年3月8日に除幕したばかり。「なぜ東大に?」と思うかもしれませんが、ハチ公の主人は東大農学部教授であった上野英三郎博士。ハチ公の検死が東大で行なわれるなど、ハチ公とは浅からぬ縁がある場所なのです。もしかしたら上野教授に連れられて、1度は訪れたかもしれない場所(?)なのです。

銅像は上野教授に飛びつくシーンがモチーフ。渋谷駅で亡くなった主人の帰りを健気に待っているハチ公の物語が有名なので、会えたシーンは感動的です。完成したばかりということもあって、たくさんの人びとが訪れて写真を収めていました。

JR大館駅前のハチ公像

「ハチ公像」を求める次なる目的地は、ハチ生誕の地である秋田県大館市。なんと、ここ大館には「JR大館駅」「ハチ公生家」「秋田犬会館」の3カ所にハチ公像があります。しかも、JR大館駅には「駅前」と「ホーム」にも。まず駅前の銅像は、渋谷と同じくお座り姿のハチ公が駅舎側を真っ直ぐ見つめ、下車した人びとを出迎えてくれます

Statue of Hachiko and its master大館駅ホームにある「ハチ公神社」

もう一体、ホーム内のハチ公は「ハチ公神社」として鳥居の奥に祀られ、やや神々しい雰囲気が漂っています。渋谷と大きく違うのは、両耳がピンと立っていることでしょうか。渋谷のハチ公像は左耳が垂れた状態ですが、これは野犬に噛み付かれた際の後遺症とのこと。大館駅では若かりし頃の、少しあどけなさが残るハチを見ることが出来きます。さらに「ハチ公生家の斉藤家」では石像のハチ公、「秋田犬会館」では、渋谷と同じ左耳が垂れたハチ公像に会うことが出来ます。大館の人びとが、いかにハチを愛しているかがよく分かります。 Statue of Hachiko and its master

東北に続き、今度は西に戻って三重県津市へ。ここは飼い主である上野教授の出身地。津市の近鉄久居駅東口にあるのは、上野教授とハチ公が仲良く向かい会っている銅像。デザインは鈴鹿市在住の彫刻家・稲垣克次さんによるもの。東大もですが上野教授と縁がある場所では、上野教授とハチ公の組み合わせがポピュラーなようで、仲睦まじい姿に心が和みます。

意外な縁では、ハチの故郷・秋田に隣接する山形県鶴岡市にも。鶴岡市役所藤島庁舎にはハチ公の石膏像が飾られています。これは渋谷の二代目ハチ公像の作者・安藤士さんによる試作品。東京大空襲で自宅を焼失した際に、安藤さんが他所の家を借りて試作制作されたのが、この石膏像。その家が旧藤島町(現鶴岡市)出身者という縁で巡り巡って、鶴岡市まで辿り着いたとのこと。渋谷駅の忠犬ハチ公像の試作品を、ここで見ることが出来ます。

Statue of Hachiko and its masterアメリカ・ウーンソケット市の旧駅舎前に座るHACHI

ここまでは国内に点在するハチ公像を調べてきましたが、なんと海を飛び越えて海外でもハチ公像を発見! その場所は、アメリカ東部ロードアイランド州、ウーンソケット市の旧駅舎前。実はここはハリウッド映画「HACHI(ハチ)約束の犬」(2009)の劇中で、愛犬ハチが主人の帰りを待ち続けるシーンのロケ地。この映画を観て感動したという地元の高校生たちの発案で、学校から市に像が寄贈されたのだとか。こんな縁もあるんですね。

渋谷で有名になったハチ公は、今や海を飛び越えて世界中で知られる存在となっています。こんなに愛されている犬は、ほかにはいないのかもしれませんね。「ハチ公物語」が万人を感動させるストーリーであることを、改めて実感させられます。そんなハチ公にまつわる話題を今後も調査していきます。

重野マコト

社会部記者として新聞社に入社後、イベントプランナー、コンテンツディレクター、飲食店経営を経て、現在はフリーライター。インタビューやイベントレポートなどの現場取材をメインに活動する。

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